先物 比較業者の徹底比較調査
証券会社間の競争が激化する中で、オンライントレードを提供する証券会社側では、主要なターゲットとする顧客層のタイプを絞り込むことで、安定的な顧客基盤を確保しようとしています。
その結果、どのタイプの顧客にとっても、それなりに納得のいくオンライントレードーサービスを見つけやすくなっているという面もあります。
投資家にとっては、選択肢の広がるいい時代がやってきたといえるでしょう。
初めて登場してからわずか数年で、個人投資家にとっては欠かせないサービスとしてすっかり定着したインターネットを通じたオンライントレードですが、今後、さらなる発展を遂げていくうえでは、課題も少なくありません。
この章では、そうした課題について簡単に解説していきます。
インターネットを通じたオンライントレードの最大のセールスポイントは、他人に煩わされることなく顧客自らが注文を人力できるという自由度の高い仕組み、それから入力した注文が速やかに処理されるというスピードでしょう。
それだけに、顧客が入力した注文が、迅速かつ確実に処理されることは非常に重要です。
オンライントレードーサービスを提供する証券会社の側からすれば、システムの安定性と信頼性ということになるでしょう。
オンライントレードのシステムをめぐっては、顧客が注文を誤って入力する可能性や口座番号やパスワードなどの個人情報の漏洩が「なりすまし」などの不正取引につながるといった懸念も指摘されています。
このうち、「なりすまし」などについては、不正取引の項で改めて取り上げることにし、ここでは、システムの安定性、信頼性という問題に焦点を絞りたいと思います。
システムの安定性、信頼性が損なわれると、場合によっては顧客から訴訟を起こされる理由にもなりかねません。
オンライントレードを行う証券会社にとっては、死活問題ともいえるでしょう。
この問題は、早くから現実化しており、アメリカでは、インターネットを通じたオンライントレードが普及し始めたばかりの九六年五月から七月にかけて、当時急成長していたEトレードの取引システムが数回にわたってダウンし、発注の機会を奪われた投資家に対して和解金を支払うといった事態も生じました。
また、九七年十月の香港市場における株価下落に端を発した世界的な株式市場の混乱の際にも、オンライントレードに関するトラブルが相次ぎました。
特に、大幅下落後、株価が急反発した同年十月二十八日のアメリカ株式市場は、ニューヨーク証券取引所の出来高が通常の三倍の約十二億株に達し、ナスダック市場の出来高も通常の二・四倍となって十三億株を超え、史上初めて両市場の出来高が共に十億株を上回るという未曾有の大商いとなりました。
各証券会社には注文や問い合わせが殺到し、インターネット上で株式の買い注文を出そうとした投資家がなかなかホームページに接続できないとか、約定の確認に長時間を要するといった問題が持ち上がったのです。
この日の事態に対しては、商用オンラインネットワークの投資に関するチャットルームで一部のオンライン証券会社が名指しで批判されるなど、投資家の不満も大きかったようです。
この事態をみて、インターネットを使った証券取引の弱点が露わになったといった論評をする向きも現れました。
しかし、実際にはこの時、メリルリンチのようにインターネットで注文を受け付けていなかった大手証券会社でも注文処理に大幅な遅れが生じており、一部の投資家への補償を検討せざるを得なくなったほどでした。
むしろ、オンライン証券会社が、全面的なシステムダウンを回避できたという点を評価すべきかもしれません。
わが国でも、手数料自由化直後に複数の証券会社で受注が滞るなどの問題が発生しました。
その後は大きなトラブルは発生していませんが、オンライントレードのサイトにつながりにくいとか、一時的に動作が遅くなるといった現象は、証券会社によっては決して珍しくないようです。
各証券会社は、システムの処理能力を予想される最大限の注文量を大きく上回る水準にまで増強しています。
アメリカでは、地震や大規模な停電といった不測の事態に備えてメインーセンターから離れた場所に数分間でシステムを全面的に切り替えられるバックアップーセンターを建設している証券会社も少なくありません。
こうした取引システムの信頼性向上のための投資負担は重く、オンライン専業証券会社の場合、広告宣伝費とシステム費用が、最大の費用項目となっています。
しかも、インターネット上でのシステムートラブルには、証券会社だけの責任では対処できない面があります。
オンライントレードの注文を受け付ける証券会社のサーバーがダウンしたというのであれば、仮にサーバーの管理や運用をシステム開発会社などに任せるアウトソーシングを行っていたとしても、証券会社に何らかの責任があることは明らかだといえるでしょう。
もっとも、その責任が、損害賠償を求められるような法的責任であるかどうかまでは簡単には判断できません。
過去に実際に起きたシステムーダウンには、ソフトウェアを書き換えた直後に不具合が発生したといった比較的証券会社の責任を肯定しやすいケースばかりでなく、想定をはるかに上回る注文が殺到したことが原因になったといったケースもあります。
今のところ、証券会社が、どの程度の注文量を想定しておかなければならないかについて規制監督上の明確な指針はありませんし、顧客との契約上、一定のサーバー容量を確保する義務があるとも考えられません。
証券会社の店舗に顧客が殺到し、処理しきれない注文が残ってしまったといった場合を考えてみても、オンライントレードだけにすべての注文を必ず処理するよう求めることはできないといわざるを得ないでしょう。
アメリカでシステムーダウンによる注文処理の遅延や発注不能に関して証券会社が和解金を支払った例があることはすでに触れた通りですが、この場合も、契約上の賠償責任を認めたわけではなく、顧客とのトラブルが会社のイメージーダウンにつながることを恐れて慰謝料的な位置づけの金銭を支払ったに過ぎません。
このように、比較的責任の所在が明確なシステムーダウンの場合でも、顧客がどのような形で救済を受けられるかは明らかではありません。
ところが、オンライントレードに伴うシステム的なトラブルの中には、さらに複雑なケースがあり得るのです。
インターネット上の通信には、インターネットへの接続を行うインターネットーサービスープロバイダ(ISP)、公衆回線を提供する通信会社がかかわっています。
しかも、インターネット上の情報は、常に一定の経路を流れるわけではありません。
したがって、例えば、買い付け注文の受付にいつもより長い時間がかかったという場合でも、証券会社のサーバーの障害以外に、顧客側のISPの問題、証券会社側のISPの問題、回線の問題、などが影響している可能性があり、宣]の原因を特定することはほとんど不可能です。
そこで、多くの場合、オンライントレードを行う証券会社は、インターネット上の障害などに関しては一切責任を負わないといった旨を取引開始時に投資家に渡す説明書類に記載しています。
オンライントレードの特徴は、迅速かつ確実な注文処理のはずではありますが、今のところは、利用する投資家の側でも、どんなに信用の置ける証券会社のサービスを利用していたとしても、システム上のトラブルが生じる可能性は常にあるということを念頭に置いておくほかなさそうです。
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